2020年1月16日、投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2020 が発表されました。
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2020 とは、投資信託について一般投資家の目線でつねに考え、情報を集め、ブログを書いている投信ブロガーたち、つまり投資信託の事情通である投資家達が支持する投資信託はどれか? の決定戦です。
そのTOP10のなかに、『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』(以下おおぶね)という、私にとって初見のファンドがあったので、調べてみることにしました。
投資信託の選び方、調べ方については下記の記事を読んでもらうとして、
記事の最後には、私なら『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』を買い付けるか否かについても意見したので、最後まで読んでもらえるとうれしいです。
ファンドの概要
この投資信託は、商品名からも想像できるように、投資信託財産の中長期的な成長を目指して運用を行います。
そしてファンドの特徴ですが、
いろいろ書いてますが、わかりやすく言うと、
米国上場企業の中から、さらに持続的に利益を生み出すと考えられる、構造的に強靭な企業(20~30社程度)を厳選し、長期投資を行うアクティブファンドのようですね。
ここでいう、構造的に強靭な企業とは、
たしかにこの条件をクリアできる企業なら、長期的な成長が見込めそうですね。
でも、こんな条件をクリアできる企業を厳選するのは、難しそう💦
そこでNVICでは、投資先を厳選するため、米国現地に足を運び、企業の経営者との面談や、工場などへの訪問を行い、企業の稼ぐ力とその持続性を調査・分析しているそうです。
コロナ禍では、現地見学が難しいでしょうから、構成銘柄の入れ替えも容易ではないでしょうね。
いちおう、NVICについて補足しておきますが、スキップしていただいて結構です。
コストの確認
投資信託を買い付け・運用する場合、信託報酬が必ず必要なわけですが、おおぶねの信託報酬は、年率 0.99%(税抜 0.9%)となっています。
ちなみに、Fund of the Year 2020 1位である eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は、年率0.1144%(税抜 0.104%)ですし、
同じアクティブファンドの中から、Fund of the Year 2020 5位である ひふみ投信の信託報酬は、年率1.078%(税抜年率0.980%)となっています。
つまりおおぶねの管理コストは、さすがにインデックスファンドよりもコストはかかりますが、国内株式中心のアクティブファンドよりも若干、本当に若干ですが管理コストは安いようです。
信託報酬以外にコスト
つみたてNISAに採用されている投資信託は、信託報酬(管理)手数料以外のコストがないために、忘れてしまいがちですが、投資信託を運用するときに売買手数料がかかる場合があります。
売買手数料のかかる投資信託の多くは、アクティブファンドだったりするので、確認していきましょう。
買付手数料について公式では、
購入時に手数料が発生すると記載してあります。
しかし、楽天証券なら買付手数料は無料となっていますし、SBI証券でもインターネットコースでの購入なら無料となっていますから、証券会社や取引するコースによって、手数料の有無が変わってくるようです。確認する必要がありますね。
購入手数料がかかるのか?かからないのか?ややこしいですよねぇ
つぎは信託財産留保額、つまり換金(売却)するときの手数料はありません。
構成銘柄
高い成長が期待できる米国上場企業の中から、さらに持続的に利益を生み出すと考えられる、「構造的に強靭な企業」を(20~30社程度)を厳選し、長期投資を行いるわけですが、具体的な銘柄も気になる確認しましょう。
半年以上前なのでちょっと古いですが、上の表から構成銘柄はもちろん、期首から組み入れ変更された銘柄がわかります。
- 売却された銘柄
- ユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)
- ザ・ハーシー・カンパニー(HSY)
- ティファニー(TIF)
- 新たに買付された銘柄
- コストコ(COST)
- ローパー・テクノロジーズ(ROP)
- バリアン・メディカル・システムズ(VAR)
- ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエイツ(JKHY)
たった3カ月で3~4の銘柄が入れ替えられています。銘柄の組入れ変更は、アクティブファンドの腕の見せどころなので、このようにどの銘柄が入れ替わったのかを確認していくことは、勉強になりますし、おもしろい。
ちなみに、UTC、ROP、に関しては、楽天証券では取り扱い採用されていませんでした。
つぎに最新(と言っても3カ月以上経過しています)の組み入れ上位銘柄のリストです。
6月の時点で組み入れされていた銘柄ばかりですが、このあたりの上位銘柄が変更されていないことに安心しました。
なぜなら、上位の銘柄がコロコロ変わっていたのでは、『現地まで行って調査したあなたの目利きはなんだったの?』っとなるからです。
しかし名前の知らない銘柄もあるので、またの機会に調べてみますね。
基準価額と純資産などの推移
基準価額が長期的に上昇していないと投資先として話にならないわけですが、
おおぶねの基準価額は設定来(2017/7/5)でみると、3年以上で50%超のパフォーマンスを見せていまていて、しっかりと右肩上がりを示していますし、
純資産についても、コロナショックのときに少し凹んだものの、順調に増やし続けています。
総じて、運用は順調と言えますね。
また、おおぶねと他の代表的な資産クラスとの騰落率の比較したとき、
- おおぶねの平均騰落率は11.1%と、他の資産クラスよりも高い
- おおぶねのリスク(変動幅)は29.8%と、先進国株の51.6%よりも少なく、先進国債の23.7%よりも少し高い
以上のことが言えます。
つまり、他の代表的な株式資産クラスよりも高い平均騰落率を示しながら、先進国債並みのリスクしかないわけですから、おおぶねは、ローリスクハイリターンを実現できるファンドかもしれません!
ただ、
分配金(税引前)
おおぶねは年1回分配金をだしているので、それの確認です。
- 20/06/22:決算:90円
- 19/06/20:決算:70円
- 18/06/20:決算:50円
基準価額の上昇だけでなく、分配金も増配傾向を示しています。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P)との比較 – Fund of the Year 2020 9位
おおぶねはアクティブファンドなので、市場平均を上回るパフォーマンスを狙っているファンドということになりますが、同じ米国株式を取引しているファンドとして、Fund of the Year 2020 9位の eMAXIS Slim 米国株式(S&P)の基準価額の推移と比較してみます。
米国株式のなかでの、アクティブファンド VS インデックスファンド といったところです。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P)の設定来である、2018/7/3を起点に比較した結果は、おおぶねのほうがeMAXIS Slim 米国株式(S&P)を、+7.62%ぶんアウトパフォームしていました。
比較期間が約2.5年間と短いですから、一概におおぶねスゲーとは言えませんが、おおぶねの今後のパフォーマンスが気になります。
ひふみ投信との比較 – Fund of the Year 2020 5位
Fund of the Year 2020 TOP10のなかから、同じアクティブファンドである、ひふみ投信と比較してきます。
おおぶねの構成銘柄数は25前後銘柄だったのに対して、ひふみ投信の構成銘柄数は260銘柄と、VYMなみの多さです。
この差が信託報酬の差にもつながっています。(おおぶねの方がちょっと安い)
つぎに、パフォーマンスの比較ですが、おおぶねの2015年8月~2020年7月の5年間の各月末における
直近1年間の騰落率の平均は11.1%であるのに対し、ひふみ投信の2015年10月~2020年9月の5年間におけるそれは11.3%でした。
よって、おおぶねとひふみ投信とでは、パフォーマンスに大きな差はありませんでした。
まとめ
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2020 が発表されたことを受けて、10位に選ばれた『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』について、私にとって初見のファンドだったために、調べてみました。
おおぶねは、中長期的成長を目指すアクティブファンドで、米国上場株式およそ20~30銘柄で構成・運用されているファンドでした。
そして、その信託報酬ですが、さすがにインデックスファンドよりも高いですが、特別高すぎるというものではなく、買付手数料も無料にすることができました。
つぎに騰落率ですが、他の代表的な株式資産クラスよりも高い平均騰落率を示しながら、先進国債並みのリスク(変動幅)しかないので、ローリスクハイリターンを実現できるファンドかもしれません。
あと、eMAXIS Slim 米国株式(S&P)の設定来である、2018/7/3を起点に両社を比較した結果は、おおぶねのほうがeMAXIS Slim 米国株式(S&P)を、+7.62%アウトパフォームしていました。
- 米国20~30銘柄で構成するアクティブファンド
- 信託報酬はボッタクリではない
- ローリスクハイリターンを実現できる?!
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P)をアウトパフォーム
ここまで書くと、魅力のあるファンドに感じますが、現段階で私は『おおぶね』を積立投資する予定はありません。
なぜかというと、実はインデックスファンドとパフォーマンスに大きな差はでていないからです。
どういう事かというと、純資産額33兆円を超える超巨大なSPYというS&P 500指数の値動きに概ね連動するETFですが、その投資成果を1993年からの設定来でみたとき、10.05%でした。
つまりこういうことです。
- インデックスファンド SPY パフォーマンス10.05% 経費率0.0945%
- アクティブファンド おおぶね パフォーマンス11.1% 信託報酬0.9%
おおぶねは、高い信託報酬を払っているわりに、パフォーマンスがさほど高くないのです。
よって、現段階で私は『おおぶね』を積立投資する予定はありません。
仮に、おおぶねのパフォーマンスが20%とかになるようでしたら考え直しますが、そうするためにはパフォーマンス30%の年を数年経験しなければならないことを考えると、あまり現実的とは思えません。
最後に、私のような情弱な投資家は、インデックス投資一本に絞ることのほうが、安全に資産運用ができると思う一方で、そうなると退屈との闘いにどのようにして打ち勝つのか?という課題が残ってしまうことになんとも言えない感情があります。