【IBM】2021年第1四半期が1年ぶりに増収した2つのポイント

2021年4月20日に【IBM】が2021年第一四半期の決算を発表しました。

このところIBMの業績は、調子がよくありませんでしたが、今回の決算発表でようやく回復の兆しが見えてきました。

今回の好業績の発表をうけて、株価は3~6%上昇しています。

今日の記事では、決算の内容から株価上昇につながったポイントについて解説していきます。

IBMは、高配当な銘柄で知られているので、インカムゲイン投資家さんには参考になると思います。

IBMの概要

IBMは、企業の情報技術(IT)において必要なあらゆる側面の一部となっている企業で、主に以下の4つの部門から収益を得ています。

  • グローバルテクノロジーサービス
  • クラウド&コグニティブ
  • グローバルビジネスサービス
  • システム

同社は175カ国で事業を運営し、約35万人を雇用している巨大な企業です。

また、8万のビジネスパートナーを有し、5,200の顧客にサービスを提供しています。

  • 株価 142ドル
  • 配当利回り 4.61%
  • 配当性向 59.7%
  • 増配年数 21年
  • 10年は配当成長率CAGR 9.63%(セクター中央値11.2%)

配当成長率はセクター中央値よりも低いですが、21年連続で増配を継続する企業力と、株主重視な姿勢には感服します。

2021年第一四半期決算

売上高は、前年同期比0.9%増の177.3億ドルと、市場予想の 173.2 億ドルを上回る結果でしたし、同期比の売上高が増収となるのは、2018年以来となります。

営業利益は、前年が落ち込みすぎたこともありますが、前年同期比237%増の15.5億ドルと2017年と同水準まで回復しています。

当期利益は、前年同期比18.7%減の9.6億ドルと、年々当期利益を減収しています。

売上がアップしているのに、当期利益がダウンしている、このような場合は、経営に問題はないのか気になるところですが、簡単に説明すると税金の還付金等が計上されたために、当期利益が下がっています。

クラウド&コグニティブの成長

ハイブリッドクラウドの概略図

IBMは、マイクロソフトアズールと同様のパブリッククラウドプラットフォームを提供していますが、同社の主な焦点はハイブリッドクラウドコンピューティングです。

ハイブリッドクラウドとは、

複数の異なる利用者と環境を共用する「パブリッククラウド」や、利用者専用の環境である「プライベートクラウド」、

利用者自身が保有するIT資産である「オンプレミス」などを組み合わせて、アプリケーションやシステムを稼働させるための管理、設定/調整の自動化、それぞれの間でアプリケーションの容易な移行を実現する、クラウド・インフラストラクチャーです。

IBM

ようするに、物理的なサーバーと仮想的なクラウドとを複合して使うことで、効率性向上とコスト削減の両立をかなえることができるみたいです。

よってIBMは、多くの顧客が、単にパブリッククラウドにオールインするのではなく、オンプレミスのハードウェアとパブリッククラウドサービスを混在させた、ハイブリッドクラウドを利用することで恩恵を受けると確信しているわけです。

IBMは、第1四半期に18%のクラウド収益成長を達成しました。

また、クラウドおよびコグニティブソフトウェアセグメント内では、クラウドの収益は34%増加し、現在、同社には約3,000のハイブリッドクラウドプラットフォームクライアントがあります。

クラウドの収益は、グローバルビジネスサービスセグメントで28%増加し、システムセグメントで21%増加しました。

このようにクラウドの成長が増収につながったと言えます。

Red Hatの成長

IBMは、2018年後半にオープンソースソフトウェア会社Red Hatを340億ドルで買収することを発表し、2019年半ばにその買収を完了しました。

このRed HatのGAAP収益成長率は、53%増と多いです。

ただnon-GAAP収益成長率、つまり企業が自社の事業の実態を投資家等に適正に理解してもらうために発表する収益成長率は、前年同期比17%増でした。

日本のサラリーマンのお給料が年間2%くらいしか上がらないことを考えると、17%増でも十分に大きい数値だと思います。

買収した企業がお金を運んでくれるなんて、IBMは買い物をしましたね。

債務の返済

IBMは、Red Hatの買収にかかる資金を債務に積み込みましたが、同社はバランスシートの強化を進めています。

Total Debt つまり、負債合計(有利子負債+支払手形)は1年前の合計643億ドルから12.3%削減した564億ドルへと、79億ドルを返済して第1四半期を終了しました。

同社は、債務負担を削減することに加えて、健全な現金残高を維持しています。

チャート

週足

IBMの株価は、2013年以降さえない動きが続いています。

とりわけ2013年、2017年、2020年の高値をレジスタンスラインに、また2016年、2020年の安値をサポートラインとした下降トレンドチャネルを築いています。

そして、現在50週および200週移動平均線がデッドクロスの状態であることを考えると、いまの株価がレジスタンスラインを容易に上に突き抜けることは難しいと思います。

また2013年以降の売上高および営業利益が、ともに減収していることも、IBMの株価低迷の原因の一つになっているため、レジスタンスラインの圧力は強く、上に突き抜けてくることは困難だと考えます。

よって、どうしてもIBMの株を買って、同社を応援したいという方は、株価が50週移動平均線付近まで下落した時がひとつのタイミングになると思います。

今すぐに買ってしまうと、高値掴みとなるリスクがありますからね。

ただ同社は、2021年通期のガイダンスは変更なしとして、12月通期の売上高見通しは「前期比で増える」との従来の強気な予想を維持しているので、通期の決算が楽しみです。

まとめ

2021年4月20日にIBM社の2021年第一四半期決算が発表されましたが、クラウド関連の好調さ、買収したRed Hatの好調さなどを背景に、売上高が市場予想に反して5四半期ぶりに増え、買いを誘いました。

決算の概要ですが、

  • クラウド・コグニティブ・ソフトウエア部門が34%増の54億3700万ドルと市場予想(約53億ドル)以上に増収
  • 複数の部門にまたがるクラウド関連事業の収入は21%増と、前期の10%増から拡大した
  • 買収したRed Hatの、non-GAAP収益成長は、前年同期比17%増
  • 負債合計は1年前から12.3%削減して、643億ドルから564億ドルへ

このような結果となりました。

IBMのハイブリッドクラウド戦略が成功すれば、収益の成長と複数の拡大の組み合わせが、株価の冴えない同社の株を忍耐強く支持していた投資家に、確かな利益をもたらす可能性があります。

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