楽天証券で2021年12月下旬から、米国株を自動で積立投資ができるようになりました。
これを機に、米株積立をはじめたい人は、どうせなら買付手数料が無料のETFで資産形成をしていくとお得だと思います。
お得な理由
・買付手数料が無料になる
ふつうなら、1回の取引で、約定代金の0.495%(税込)がかかる
( 手数料上限22米ドル(税込) )
・簡単に分散投資ができる
そこで、 どのようなサラリーマン投資家に、どのETFがおすすめなのかを検討してみたいと思います。
ちなみに楽天証券には、買付手数料が無料の米国ETFが9商品あります。
そのうちのひとつである【SPY】は、【VOO】と投資対象がカブっている上に、【VOO】よりも経費率が高い(0.09%)ので、今回の記事で扱うのはやめました。
なので、残った8つの米国ETFを比較しながら、どのような投資家に、どのETFが最適なのか考えていきますね。
- VOO
- 毎月5万円以上の投資金が余裕でだせる人
- RWR、FINX
- 高配当銘柄のひとつとして投資したい人
- FINX、AIQ
- S&P500のアウトパフォームをねらいたい人
- GLDM
- 株価暴落から資産を守りたい人
買付手数料無料の銘柄については、SPU判定対象外となりますのでご注意ください。
比較表
さきに、買付手数料が無料の米国ETFの比較表を作成しましたので、提示します。
それぞれのETFについて、分配利回りなどの項目について、簡単に解説していきます。
平均出来高を比較項目に加えた理由は、どれだけ投資家達に人気があるのか?を知りたかったからです。
投資対象 | 経費率 | 分配利回り | 株価$ | 平均出来高 | タイトル | |
VT | 世界の株式 | 0.08% | 1.84% | 106 | 227万 | 詳細を見る |
VOO | 米国500社の株式 | 0.03% | 1.26% | 428 | 528万 | 詳細を見る |
VTI | 米国全体の株式 | 0.03% | 1.24% | 236 | 365万 | 詳細を見る |
RWR | 米国の不動産 | 0.25% | 2.85% | 119 | 14万 | 詳細を見る |
GLDM | ゴールド | 0.18% | 0.00% | 18 | 282万 | 詳細を見る |
AIQ | AI/ビッグデータ テクノロジー | 0.68% | 0.16% | 30 | 3.2万 | 詳細を見る |
FINX | 金融技術の 最先端にある企業 | 0.68% | 5.72% | 37 | 30万 | 詳細を見る |
GNOM | ゲノム医療や バイオテクノロジー | 0.50% | 0.04% | 18 | 12万 | 詳細を見る |
表からわかったことは、
- 米国に投資をするなら、【VOO】
ただし、5万円ほどと高い - 【RWR】と【FINX】は、配当利回りが高い
ただし、どちらも人気はない - 【GLDM】なら、有事の金(ゴールド)を少額(2,3千円)から積立できる
- 【AIQ】株価が4千円程度と、積立しやすい
ただし、人気がすこぶるない
つぎにパフォーマンスの違いについても表にしました。
VTを基準として、それよりも高いパフォーマンスのETFには○印をつけてあります。
株価上昇率 | 投資対象 | 6か月 | 1年 | 3年 | 5年 | GNOMの 設定来順位 | タイトル |
VT | 世界の株式 | 1.8% | 12.0% | 59% | 70% | 4 | 詳細を見る |
VOO | 米国500社の 株式 | 7.3% | 23% | 83% | 105% | 2 | 詳細を見る |
VTI | 米国全体の 株式 | 4.9% | 19% | 81% | 101% | 3 | 詳細を見る |
RWR | 米国の 不動産 | 11% | 42% | 38% | 25% | 7 | 詳細を見る |
GLDM | ゴールド | -0.6% | -6.4% | 38% | – | 5 | 詳細を見る |
AIQ | AI/ビッグデータ テクノロジー | -1.8% | 10% | 125% | – | 1 | 詳細を見る |
FINX | 金融技術の 最先端にある企業 | -22% | -20% | 64% | 146% | 6 | 詳細を見る |
GNOM | ゲノム医療や バイオテクノロジー | -25% | -32% | – | – | 8 | 詳細を見る |
下のチャートは、8つのETFの値動きを比較したものです。
もっとも新しく設定された【GNOM】の設定日(2019年4月)を基準日にして、それぞれのチャートをならべてみました。
表示させる期間によって、パフォーマンスはコロコロ変わるので、参考程度に思ってください。
パフォーマンスの順位は
- AIQ
- VOO
- VTI
- VT
- GLDM
- FINX
- RWR
- GNOM
となりました。
トップの【AIQ】ですが、組入れ銘柄のなかに、
- NVDIA
- アップル
- マイクロソフト
- ネットフリックス
- グーグル
- インテル
など、GAFAM+半導体という黄金の組み合わせが、上位銘柄をしめているので、今後の成長にも期待できると思います。
次に、【GLDM】はコロナショックのときの下落幅が、抜群に低いことがわかります。
有事の金と言われるだけのことはありますね。
2020年末までは調子のよかった【GNOM】ですが、今その株価は最高値から35%ほど下落しています。
つぎに大きく下落したETFは【FINX】で、最高値から25%ほど下落しています。
よって、テーマ型のETFは値動きが大きいと言えそうですね。
ここからは、それぞれのETFのメリット、デメリットをまとめてみました。
VTのメリット、デメリット
バンガード社が運営する、【VT】バンガード・トータル・ワールド・ストックETFは、
先進国や新興国市場を含む世界約47ヵ国の約8,000銘柄で構成されている。
私を含め、最近は米国というひとつのカゴに集中投資をしている投資家さんが多いです。
しかし、過去を振り返ると、世界の時価総額は時代とともに移り変わっています。
- 1980年代 日本
- 2000年代 新興国
- 2010年代~ 米国
よって、今後も米国がもっとも成長するとは言い切れません。
このように考える方は、 【VT】バンガード・トータル・ワールド・ストックETFで、資産形成するといいと思います。
VOO、VTI のメリット、デメリット
バンガード社が運営する、【VOO】と【VTI】は、投資対象が米国という共通点があります。
異なる点は、組み入れ銘柄数で
・VOO 512
・VTI 4156
と大きく違います。
【VTI】のほうが、組入れ銘柄数が多いぶん、経費が多いんじゃないか?と思うかもしれませんが、どちらも経費率は0.03%で同じです。
そして、パフォーマンスや分配利回りもほぼ同じです。
出来高をみるかぎり、【VOO】のほうが人気がありますが、【VTI】も十分に人気はあります。
よって、米国というひとつのカゴに投資をしてもいいという投資家は、両者のどちらを買ってもいいと思います。
そうなると、株価のやすい【VTI】のほうが、積立しやすいと思います。
そもそも米株積立をする人って、そのまえにNISAをやって、iDeCoやジュニアNISAもやっていると思うんです。
そのうえで、株価の高い【VOO】や【VTI】を積み立てていくには、かなりの資金力がいります。
RWRのメリット、デメリット
ステート・ストリート社が運営するETFで、米国で上場されているREITへの分散投資を行います。
ダウジョーンズ 米国セレクトREIT指数に連動した値動きをします。
経費率は、今回紹介する8つのETFのなかで4番目に高いです。
直近の配当利回りは、2.85%と高配当銘柄と言いきるには、少し物足りないように思うかもしれません。
しかし、過去を振り返ると、4~5%の配当利回りがあった時期もあるので、高配当銘柄と言っていいと思います。
このチャートは米国のREIT指数の推移ですが、超長期的にみると、不動産価格は右肩上がりに上昇していることがわかると思います。
ただ、リーマンショックからの回復には8年の歳月を費やしている点は、忘れたくないですね。
GLDMのメリット、デメリット
【RWR】同様に、ステート・ストリート社が運営するETFです。
金現物の値動きに連動する投資成績をえられます。
似たものに【GLD】SPDR Gold Share というETFがありますが、こちらの経費率は0.40%と高いです。
また、1株の価格も、GLDだと2万円程度するところを、GLDMだと2千円ちょっとで買うことができます。
このチャートはゴールド価格の推移ですが、超長期的にみると、右肩上がりに上昇していることがわかると思います。
しかし、2011年につくった最高値を超えるのに、9年かかっています。
資産運用というのは、目先数年の結果をみるのではなく、10数年以上を見据えてやっていくものだと気づかされます。
AIQのメリット、デメリット
GLOBAL X社がおくるテーマ型ETFのひとつです。
世界のAI(人工知能)および、ビッグデータ関連の企業にフォーカスして投資をおこなうETFです。
AI開発や、ビッグデータ関連に60銘柄、
AIハードウェアや、量⼦コンピューター関連で25銘柄の、合計85銘柄によって構成されています。
【AIQ】の設立日(2018年5月)を基準に、【VT】とのパフォーマンスを比較してみると
- 【AIQ】 109%
- 【VT】 55%
倍近い差ができています!
キャピタルゲインを狙うには、もってこいのETFと言えそうです。
FIXのメリット、デメリット
グローバルX社が提供する、世界のフィンテック関連企業に厳選して投資するETFです。
フィンテックと言われても、ピンとこないかもしれませんが、
- モバイル決済
- クラウドファンディング
- ブロックチェーン・代替貨幣
- ⾦融ソフトウェア・⾃動化資産管理 など
6つのテーマのなかから、⼀定の基準(時価総額・流動性など)を満たした銘柄に投資しています。
構成銘柄数は、公式では20~100銘柄とあり、かなり幅をもった数字になっています。
2022年1月時点での構成銘柄数は66銘柄でした。
【FINX】の設立日(2016年9月)を基準に、【VT】とのパフォーマンスを比較してみると
- 【FINX】 160%
- 【VT】 102%
約1.6倍の差があることがわかりました。
そのぶん、値動き(リスク)も大きいことがチャートをみるとわかると思います。
さきほど、【FINX】は分配利回りが高いことをメリットとしましたが、
2019年と2020年の2年間を減配ではなく、無配となった履歴がありますので、インカムゲインを狙う場合は注意が必要です。
GNOMのメリット、デメリット
世界のゲノム関連企業に厳選して投資をするETFです。
ゲノムとは、遺伝子をはじめとした遺伝情報の全体を意味するわけですが、
- 遺伝⼦編集
- 遺伝医学・治療の開発
- コンピューターによる遺伝⼦診断
- バイオテクノロジー関連 など
6つのテーマのなかから、時価総額や商品パイプラインなどを考慮して、銘柄選定しているそうです。
その構成銘柄数は約40銘柄と、先に紹介した【AIQ】や【FINX】のそれよりも低い数値となっています。
また、地域の内訳についても、米国だけで約80%を占めているため、世界に分散しているとは言いがたいです。
組み入れ銘柄の上位をみたところ、私にとって名前も聞いたことのない銘柄ばかりでした。
わかったのは、第18位のギリアド・サイエンシズ(コロナ治療薬)や
第23位のバイオンテック(コロナワクチン)ぐらいでした。
自分のわからないもの、理解できないものには、投資をしないほうがいい、というのが私の判断です。
まとめ
だいぶ長くなりましたが、楽天証券で米株積立をしたいと思っている方に向けて、買付手数料無料の米国ETFのなかから8つを紹介しました。
そのうちの7つは、投資妙味があると思います。
- VTI、VOO
- NISAやiDeCo以外にも、
毎月3万円以上の投資金が余裕でだせる人 - VT
- 米国というひとつのカゴに卵を入れるのは恐い人で
毎月1.2万円以上の投資金が余裕にだせる人 - RWR、FINX
- 高配当銘柄のひとつとして投資したい人
- FINX、AIQ
- S&P500のアウトパフォームをねらいたい人
- GLDM
- 株価暴落から資産を守りたい人
VTやVTIは、投資信託をつかってすでに投資している可能性が高いので、個人的には、【FINX】がもっとも投資妙味があると思っています。
何を積立てたいのか分かったら、つぎはつみたての設定方法ですね。
楽天証券の米株積立設定はこちら。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
買付手数料の米国ETFが15商品に増えています。