ちまたでは、QYLDをつかったFIRE(Financial Independence, Retire Early)が話題となっています。
しかし私が仮にFIREを目指すのであれば、QYLDよりもJEPIを使った資産形成をめざします。
そこで高配当ETFのQYLDについて、その仕組みや注意点を解説しつつ、
その代替案としてJEPIを紹介したいと思います。
あなたに合ったETFを見つけるお手伝いなれば嬉しいです。
JEPI | QYLD | |
---|---|---|
正式名称 | JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF | グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF |
運用会社 | J.P.モルガン・アセット・マネジメント | グローバル X |
純資産 | 約220億ドル | 約70億ドル |
経費率 | 0.35% | 0.60% |
対象インデックス | S&P500指数 | ナスダック100指数 |
仕組み | ・S&P500指数に連動するELNのクーポン収入 | ・米大型株保有ナスダック100指数のコール・オプションを売却 |
分配頻度 | 毎月 | 毎月 |
分配利回り | 11.9% | 12.3% |
トータルリターン 1年 | -2.35 | -7.79% |
トータルリターン 3年 | 38% | 17% |
分配金の変動率 | 1〜1.63 | 1〜1.29 |
公式サイト | 公式サイト |
以下、株価などの写真には、seeking alpha というアプリを使っています。
FIREのためにJEPIをすすめる理由
以下の理由から、JEPIのほうがFIREむけの商品だと考えます。
・値上がり益と高い分配金の両方がもらえる
・トータルリターンが優れている
解説します。
QYLDとJEPI 仕組みの違い
今回は、私が保有している高配当ETFの一つであるJEPI(JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカム ETF)について、
FIREをめざす手段には、QYLD(Global X NASDAQ 100カバードコールETF)よりもおすすめする理由について説明します。
まず、JEPIとQYLDの共通点は、どちらもコールオプションの販売によってオプションプレミアムを収入源としており、高い分配金利回りを提供している点です。
2023年3月24日時点で、
JEPIの分配金利回りは11.9%、
QYLDの分配金利回りは12.3%です。
FIREを目指す投資家にとっては、この高配当は魅力的です。
しかし、JEPIとQYLDの違いは、オプション取引の対象となる株式やその保有方法にあります。
QYLDはナスダック100指数に連動するETFであり、そのETFを保有しながらその上でコールオプションを販売しています。
つまり、QYLDはナスダック100指数の上昇分を捨てて、オプションプレミアムだけを得ることになります。
下に、QQQとQYLDの株価を示します。
QYLDの株価が下がり続けて、ナスダック100(QQQ)のように上昇していないことがわかります。
このように株価が上昇傾向であっても、キャピタルゲインが得られないため不利です。
一方、JEPIはS&P500指数に連動するELN(エクイティリンク債)という特殊な債券を使って、オプション取引を行っています。
JEPIではS&P500指数のコールオプションを販売しながら、ELNから得られる高利回りのクーポン収入を分配金原資としています。
また、ELN以外にもマイクロソフトやアッヴィなどの大型株も保有しており、そちらから得られるキャピタルゲインや配当収入も分配金の原資にしています。
つまり、JEPIはQYLDと違ってS&P500指数や大型株の上昇分を捨てずにキャピタルゲインや配当収入も得ることができます。
これは株価が上昇傾向にある場合には有利ですし、株価が下落傾向にある場合でもELNから得られるクーポン収入で分配金を安定させることができます。
QYLDとJEPI リターンの違い
過去1年間のトータルリターンを見てみましょう。
2023年3月24日時点で、JEPIのトータルリターンは-2.35%ですが、QYLDのトータルリターンは-7.79%です。
これは、QYLDがナスダック100指数の下落に直接影響を受けたのに対し、JEPIがELNや大型株の保有によって下落を緩和したためです。
次はもう少し長い期間でみましょう。
JEPIの設立された約3年前からの、トータルリターンを比べてみます。
JEPIのトータルリターン38%に対して、QYLDのトータルリターンは17%です。
ここでもJEPIのパフォーマンスのほうが優っている結果になりました。
もう一度言いますが、株価上昇局面ではキャピタルゲインを、下落局面ではクーポン収入を得ています。
このようにJEPIは、どちらの局面でもリターンを狙える仕組みにしていることが強みです。
QYLDを買うメリット
いちおうJEPIよりもQYLDを買った場合のメリットも考えると、2つあります。
解説します。
QYLDは安いため買いやすい
QYLDのメリットの一つは、株価が安いことです。
2023年3月24日時点で、QYLDの株価は16.85ドルです。
これは設立以来の最安値水準に近く、割安感があります。
株価が安ければ、同じ金額でより多くの株式を購入することができますし、分配金利回りも高くなります。
例えば、1万ドルでQYLDを購入した場合、約590株を保有することができます。
これは1年間で約1,200ドル(約15万円:1ドル=130円で計算)の分配金収入に相当します。
円安のおかげもあるけど、100万円の投資資金で毎月1万円の分配金が見込めます。
QYLDは分配金が安定している
もう一つのメリットは、分配金の安定性です。
QYLDは毎月分配金を支払っており、その額はほぼ一定の水準を維持しています。
2022年1月から2023年3月までの間では、1株あたりの分配金は0.1626ドルから0.2097ドルの間で変動しています。
最低額と最高額の差は、1.29倍しかありません。
一方、JEPIの分配金の推移を見てみましょう。
2022年1月から2023年3月までの間では、1株あたりの分配金は0.3818ドルから0.6210ドルの間で変動しています。
最低額と最高額の差は、1.63倍あります。
このようにQYLDは高いインカムを安定的に提供しているという面では、FIREに適しているかもしれません。
まとめ
以上のように、JEPIとQYLDは高配当ETFとして同じように見えますが、実際にはオプション取引の方法や株式保有の方法が異なります。
その結果、JEPIはQYLDよりもキャピタルゲインとインカムゲインの両方に優れていると言えます。
FIREをめざすなら、長期的な資産増加と安定的なキャッシュフローが重要だと考えています。
そのため、JEPIを保有しています。
もちろん、QYLDにもメリットはありますし、投資判断は個人の責任でおこなう必要があります。
しかし、FIREをめざすための高配当ETF選びには、単純な利回りだけでなく、分配金込みで考えたトータルリターンを考慮することが大切だと思っています。
以上が私がJEPIをQYLDよりも優れていると考える理由です。
皆さんも高配当ETFを選ぶ際に参考にしてみてください。