
東証リート指数に連動したETFや投資信託への投資を考えている人にとって、そのデメリットを理解することは重要です。
しかし、ネットの記事でデメリットと言われるものの中には、それはちょっと違うな!っと思うところがあるので、それらについて反論していきたいと思います。
よって、
- J-REITへの投資は大丈夫なのか?
- 自分にあった商品なのか?
と、気になる方の参考になれば嬉しいです。
私は、J-REITをインカムゲインを狙った投資先として利用しているので、その目線でお話していきます。
J-REITをおすすめしない3つの理由│すべて論破します!
J-REITには、元本割れリスクがある?

そもそも投資だから…
J-REITに限らず、投資をするということは、元本割れリスクはたしかにあります。
REITは株式と同じで、価格が日々変動するため、購入した時より価格が下落すると元本割れしてしまいます。
つまり、REITを買ったタイミングによっては、損失が生じる可能性があるということです。
しかし、そもそもREITに『投資』をしようというのですから、リスクがあるのはあたりまえなんですよね。
あたりまえのことをわざわざデメリットとしてあげるのは、ちょっと違うと思ってます。
例えば車を買う時に、店員さんが『こちらの車を購入すると、事故を起こした場合、お怪我をするかもしれません』なんて、車購入におけるあたりまえのデメリットを言わないですよね。
だから、元本割れをリスクに上げるのはちょっと違うかなぁ〜って思っています!
それに、年率2~6%の利回りが貰える商品に元本保証があったら、それは素敵な投資商品じゃなくて『詐欺商品』を疑いますね。
J-REITのパフォーマンスは右肩上がり

これは2003年3月からの、TOPIX(オレンジ色)とJーREIT(青色)のパフォーマンスを、配当金(分配金)込みで比較したものです。
この図をながめると、2007~2014年のあいだに低迷期はあるものの、長期的に見ればいずれのパフォーマンスも右肩上がりだといえます。
仮にこの低迷期のなかでも、こつこつ分割で投資をしていたら、ドルコスト平均法のおかげで、7年間よりも短い期間で、元金割れから脱出することも可能です。
また、長期的にみれば日本株式(TOPIX)よりもJーREITに投資をするほうが、お得だということがわかると思います。
分配金の推移

この図は、JーREITの分配金の推移を表した(水色?の棒グラフ)ものです。
2008年のピークから、最大約30%も減配しています。
これだけ聞くと、マイナスなイメージを持つと思います。
しかし、配当金が減っていく2009年~2012年は株価も下がっており、分配利回りが4~8%とかなり高くなっていました。

オレンジの点線
つまり、減配はしていても、その時の株価に対する分配金自体は低くなっていないということです。
だから、大きく悲観することはないと考えています。
また、無配となることもなかったので、そこは評価してほしいところです。
J-REITには、地震によるリスクがある?

日本は地震大国なので、地震による建造物の崩壊が起これば、不動産における収入が漸減することは簡単に予想することができます。
火災保険などによって一定の補償を受けられますが、被害状況によってはしばらく賃貸収入が発生せず、分配金の減配につながるでしょう。
そこでJ-REITは、地震対策の⼀つとして、物件選定時に地震PMLを参考にしたリスク管理⼿法をとっています。
この言いまわし方だとピンとこないと思うので、『地震PMLが低いほど地震に強い物件』とだけ理解しておけばOKです。

そして、J-REITが保有している物件は、この地震PMLが低い物件が多く含まれているので、地震による損害は、それほど大きくはならないと考えられています。

上の写真は、J-REITの各投資法人が所有する物件の地震PMLを棒グラフにしたものです。
すべての投資法人の地震PMLが10以下になっています。
また、地震PMLが5以上10未満の法人は、6法人しかなく、そのほかは地震PMLは5以下の投資法人ばかりです。
よって、地震によって収入減となるリスクは、非常に少ないと言えます。
- 地震PMLが低いほど地震に強い物件
- J-REITが保有している物件は、地震PMLが低い物件が多い
- だから、地震がきても大丈夫!
上場廃止リスクがある?
REITは運営元の不動産投資法人が倒産したり、上場廃止になったりするリスクがあります。
もし投資法人の上場廃止が発表されれば、投資したREITの価格は大幅に下落する可能性が大きいです。
しかし、心配はいりません。
ここでいうREITは、個別の投資法人の話であって、東証リート指数に連動した値動きをするETFの話ではありません。
- 個別の投資法人とは…
- ・【3473】 さくら総合リート投資法人
・【3308】 日本ヘルスケア投資法人 など - 東証リート指数に連動したETFとは…
- ・【1343】 NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信
・【1476】 iシェアーズ・コア Jリート ETF など
個別の投資法人については、吸収合併によって上場廃止となった投資法人が実際にあります。
過去を振り返ると、2010年から2021年までの間に、17件の吸収合併による上場廃止の事例がありました。

しかし、東証リート指数に連動した値動きをするETFが、上場廃止や吸収合併された記録は、私の探したところどこにもありません。
よって、【1343】 NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信のような、東証リート指数に連動した値動きをするETFで、J-REITを運用すれば、上場廃止のリスクは、ほぼないと考えられます。

注意)J-REITは値動きが大きい
ここまでの内容は、J-REITに関するデメリットと言われるものを跳ね返したきたわけですが、これをきっかけに投資対象としてJ-REITに興味を持ってもらえたらうれしいです。

しかし、実際にJ-REITに投資をする場合は、その値動きの大きさは知っておく必要があります。
例えば、サブプライム問題やコロナショックのときに、パフォーマンスを大大大暴落させています。
- サブプライム問題 2612 ➤ 770 (約70%減)
- コロナショック 2245 ➤ 1576 (約30%減)
このように、J-REITは値動きが(TOPIXよりも)大きいので、含み損への抵抗が弱い方には、JーREITはメンタル的にしんどい商品になるかもしれません。
逆に私と同じで、長期的に分配金をもらうことを目的にしているのなら、目先の含み損は気にならないと思います。
よって、長期的に分配金をもらうことを目的とするのなら、高配当銘柄のひとつとして、JーREITを選択するのはありだ考えています。
J-REITへ投資をするときに、その目的を確認しましょう!

まとめ
今回の記事では、J-REITへの投資を検討してほしくて、一般的に言われるJ-REITのデメリットのなかから、『これはデメリットじゃないかも?』というものについて、反論してみました。
- 元本割れリスク
・そもそも投資なのだから、元本割れリスクくらいあたりまえ
・長期的に見れば、パフォーマンスは右肩上がり
・分配金も無配になったことはない - 地震によるリスク
・J-REITは、物件選定時に地震PMLを参考にリスク管理
・すべての投資法人の地震PMLは10以下
・よって、地震による被害は軽度でおさまりそう - 上場廃止リスク
・上場廃止・吸収合併しているのは、個別の投資法人
・東証リート指数に連動したETFが、上場廃止になった記録はない
このように、デメリットと言われるものの中には、考え方次第でデメリットにはなり得ないものがあります。
ただ、JーREITの値動きが大きいというデメリットは、投資家の性格によっては許容できないデメリットになるかもしれません。
私と同じ高配当投資家なら、目先の含み損は気にならないでしょう。
よって、高配当投資家が、東証リート指数に連動したETFを購入して、分配金をもらおうと考えても、それは大きなリスクにはならないと考えます。
私のつたない説明では不明な点も多いと思うので、J-REITについてもっと詳しく知りたいというかたは、日本取引所グループがだしている、『東証公式Jリートガイドブック』を参照ください。